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止んだ蝉時雨。柔い肌を刺激した心地良い風と後輩の傷み。

季節が夏から秋に移動しつつある、ちょうど今頃。今日のような静けさと涼しさ。遠くにいる台風が味方をしてくれるせいか、体に感じる心地良すぎるほどの風が、私の柔い肌を刺激しては気づくと一粒の涙が頬を伝っている。何が悲しいわけでもなく、何が辛いわけでもなく、ただただ、涙が面白いくらいに止めどなく溢れ出る。



「先輩・・・どうして泣いているんですか?何か悲しい事でもあったんですか?」

誰だ!? (/ω\)  辺りを見渡したって誰もいるわけなんてない。また空耳か...

「三輪ですよ!先輩お元気ですか?」

三輪?・・・そっか(:_;) 俺、お前に対して未だに面と向かってちゃんと謝っていなかったな。

「え?何の事ですか?自分は今そこそこ毎日楽しくやってますよー。てか先輩なんか変わりましたね!」

俺、変わったかな?どう変わったと思う? 少し偉そうに見えるか?それとも大分落ちぶれたように見えるか? なぁ三輪、どう思う?

「そうですね!先輩は、どことなく偉そうなところは前からあります!だからと言って落ちぶれたようにも見えませんよ。」

お前には、俺が過去にあんな酷いことをしたのに、本当に申し訳ないと思っている...

「だから何のことですか~?先輩、顔を上げてくださいよ」



とぼけなくていいさ。 三輪が、【性同一性障害】で苦しんでいたことだよ。

俺が高校3年の時、三輪は1年生として部活に入部してきた。新入部員は男女共にそこそこいたから、みんな1人ずつ自己紹介をした。そしてお前は「名前も男」「男子の制服」であるから当然男だと思っていた。ところがお前は非常に甲高い声で自己紹介を始めた。

俺は、人生の全てにおいて無知であり過ぎた為に、笑いを堪える事ができずお前をバカにするかのように吹きだしてしまった。

三輪が、「その時に死ぬほど悩み苦しんでいる事」を俺は侮辱してしまったのだ。

お前は、あの時どれほど傷ついただろう。どれほど苦しんだだろう。そしてどれだけ俺を憎んだだろう。 天狗様気分でいた俺にとって、三輪の気持ちなどこれぽっちも考えようとはしなかったはずなのだから。

結局俺は、「三輪を笑った後ろめたさ」がありながらも、卒業まで先輩面を通し、面と向かって謝ることができなかった。



「な~んだ、そのことですか^^; もういいですよ、昔のことですし!それに見てください!もう私は立派に女になってるんですから。自分は、自分の望む姿になれました!だから今は楽しいんですっ♪」

そうだね、そんなイキイキと過ごす三輪の姿を、本当に今この目で見る事ができたなら。



「もしかして先輩、自分のことを思い出して泣いてたんですか~?」(=゚ω゚)ノ

今の俺が「死ぬほど悩み苦しんでいる事」を人から侮辱されたら、と考えた時、三輪の苦労を想像してみたんだ。とにかく、本当に申し訳ありませんでした。ごめんなさい。



三輪の心に一生消えぬ傷をつけてしまった。人の心に残した傷は「謝罪」なんかで簡単に消滅しない。



聞いてるか三輪?  ・・・ん?   三輪!どこへ行った!?( ゚Д゚)?

そうだよな。いるわけないよな...  さぁ涙を拭おう! 俺も様々な侮辱に耐えていくよ。

そして必ず、君に謝れる日がやって来ると信じているよ。 

いつから?生理前のイライラで彼氏とケンカばかり。対処法は?
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